column
5年後のことなんて、まだ分からない
——具体的な予定がなくても、将来への準備は始められる
前回、約300万円の貯金を、
「今使う」
「もしもを守る」
「将来に備える」
の三つに分けて考えることになった山本千夏さん。
しかし、「将来に備える」の欄を前にして、手が止まってしまいます。
5年後も一人で暮らしているのか、誰かと暮らしているのか。仕事を続けているのか、どこに住んでいるのかも、まだ分かりません。
将来が決まっていない状態で、何を目標にお金を準備すればよいのでしょうか。

将来に備えると聞くと、具体的な目標が必要だと思うかもしれません。
例えば、
◆ 何歳までに結婚する
◆ 何年後に住宅を購入する
◆ 今の仕事を定年まで続ける
◆ 老後はこの地域で暮らす
このように予定が決まっていれば、必要なお金を考えやすくなります。
一方で、5年後や10年後の生活を、今の時点ではっきり決められない方も多いでしょう。
千夏さんも、一人で自分らしく暮らしている未来と、誰かと支え合いながら暮らしている未来の両方を思い浮かべました。
どちらか一つに絞る必要はありません。複数の可能性を残したまま準備することもできます。
相談相手は千夏さんに、
「どんな未来になっても、これだけは手放したくないことはありますか?」
と尋ねました。
理想の将来像が思い浮かばないときは、「こうなりたい」ではなく、「これは避けたい」という視点から考える方法もあります。
例えば、
◆ お金が理由で住む場所を選べなくなるのは避けたい
◆ 今の仕事が合わなくなったとき、辞められない状態にはなりたくない
◆ 学びたいことが見つかったとき、お金がなくて諦めたくない
◆ もしものときに、生活がすぐに立ち行かなくなるのは不安
避けたい状況が分かると、そのために残しておきたいお金や、今から準備できることを考えやすくなります。
千夏さんが考えたのは、次の三つでした。
◆ 住む場所
◆ 仕事
◆ 学び
具体的な引っ越しや転職、資格取得の予定が決まったわけではありません。
それでも、
「暮らす場所を自由に選びたい」
「仕事について自分で判断できる余裕を持ちたい」
「興味のあることを学べる状態でいたい」
という、自分が大切にしたいことが見えてきました。
将来の予定が決まっていなくても、自分が守りたいものが分かれば、何のためにお金を残しておくのかを考えられます。
将来に備えるお金は、決まった予定のためだけに用意するものではありません。
環境や気持ちが変わったときに、自分で選べる状態を残すためのお金として考えることもできます。
例えば、今後転職したいと思ったとき、生活費に余裕があれば、急いで次の仕事を決めずに済むかもしれません。
別の地域で暮らしたいと思ったときには、引っ越し費用が必要になります。新しく学びたいことができれば、受講料や教材費がかかることもあります。
まだ具体的な計画がなくても、こうした可能性に備えておくことはできます。
将来に備えるというと、目標や必要金額を最初から決めなければならないように感じます。
しかし、未来が決まるまで準備を止めておく必要はありません。
まずは、
◆ これからも大切にしたいこと
◆ できれば避けたい状態
◆ 将来選べるようにしておきたいこと
を書き出してみましょう。
千夏さんのように、「住む場所」「仕事」「学び」といった短い言葉だけでも構いません。
今の段階で未来を一つに決めなくても、どの未来を選んだ場合にも役立つ備えはできます。
まずは、自分が残しておきたい選択肢を考えるところから始めてみましょう。
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