column
遠足の準備は確認できるのに、自分のお金は分からない
——まずは三つの項目に分けて考えてみよう
9月号外の主人公は、小学校で働く佐々木香織さん。
遠足から戻った放課後、子どもたちの持ち物チェック表を見返していました。
水筒、レインウェア、連絡方法、集合場所——。
子どもたちが困らないよう、必要な準備に漏れがないか、一つずつ確認しています。
そんななか、香織さんはふと、自分のお金について考えました。
「子どもたちの準備は確認できるけれど、自分のお金の備えは、どこから考えればいいんだろう?」

学校の先生は、授業だけでなく、行事の準備や子どもたちへの連絡、安全確認など、多くのことに気を配っています。
遠足のような校外行事では、必要な持ち物や集合時間、緊急時の対応まで、事前に細かく確認します。
一方で、自分自身の将来やお金のことになると、
「何から考えればよいか分からない」
「今すぐ困っていないから、あとでいいかな」
「調べても選択肢が多くて決められない」
と、後回しになってしまうことがあります。
香織さんも、今の生活に大きな問題はありませんでした。
それでも、もしものときの備えや、これからの選択肢については、まだ整理できていないことに気づきます。
お金について考え始めると、
「いくら貯めればいい?」
「保険は見直した方がいい?」
「資産運用を始めるべき?」
「老後にはいくら必要?」
など、さまざまな疑問が出てきます。
すべてに答えを出そうとすると、考えることが増えすぎて、かえって動けなくなる場合があります。
そこで香織さんは、まず「正解を決める」のではなく、自分の状況を整理することから始めました。
香織さんがノートに書いたのは、次の三つです。
◆ 今の暮らし
◆ もしもの備え
◆ これから選びたいこと
詳しい金額や具体的な商品名を書く必要はありません。
まずは、それぞれについて今分かることや、気になっていることを書き出してみましょう。
「今の暮らし」では、毎月の生活に必要なお金や、現在の収支を確認します。
例えば、
◆ 毎月の手取り収入
◆ 家賃や住宅費
◆ 食費や水道光熱費
◆ 通信費や保険料
◆ 趣味や交際費
◆ 毎月貯金できている金額
などです。
細かな家計簿をつけていなくても、銀行口座やクレジットカードの明細を見れば、おおよその金額を確認できます。
現在の生活にいくら必要なのかが分かると、今後のお金について考えやすくなります。
次は、病気やけが、休職、急な出費などへの備えです。
例えば、
◆ すぐに使える貯金はいくらあるか
◆ 働けなくなった場合に利用できる制度はあるか
◆ 加入している保険の内容を把握しているか
◆ 家電の故障など、急な支出に対応できるか
などを確認してみましょう。
ここでも、すぐに必要金額を決める必要はありません。
まずは、今どのような備えがあり、何が分かっていないのかを整理するだけでも十分です。
将来について、具体的な予定が決まっていない方もいるでしょう。
「今の仕事を続けるか分からない」
「結婚や住まいについて、まだ考えがまとまっていない」
「興味のあることはあるけれど、行動するかは決めていない」
このような状態でも問題ありません。
例えば、
◆ 住む場所を自由に選びたい
◆ 仕事を変えたくなったときに動けるようにしたい
◆ 学びたいことが見つかったら挑戦したい
◆ 家族や自分のために使える余裕を持ちたい
など、「できるようにしておきたいこと」を書き出す方法もあります。
将来を一つに決めるのではなく、残しておきたい選択肢を考えてみましょう。
お金の備えというと、保険や資産運用などの商品を選ぶことをイメージしがちです。
しかし、先に商品を決めても、それが自分の暮らしや目的に合っているか判断できなければ、納得して選ぶことはできません。
まずは、
◆ 今の暮らし
◆ もしもの備え
◆ これから選びたいこと
の三つを確認し、自分にとってお金にどのような役割が必要なのかを整理してみましょう。
何を相談したいのか、まだまとまっていなくても大丈夫です。
香織さんのように、「自分の備えを整理したい」という段階から相談を始めることもできます。
相談したい内容や将来の予定が決まっていなくても問題ありません。
今の暮らしや気になっていることを、一緒に整理するところから始められます。
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